バレエマスター

ガルニエ宮でリハーサルの指導をするバレエマスターのジュール・ペローエドガー・ドガ画、1875年)

バレエマスター(Bellet master、Balletmasterとも綴る)、女性の場合はバレエミストレス(Ballet mistress)とは、バレエ団の役職の一つで、所属ダンサーのダンス技術水準に責任を持つ者を指す。より古風にはプルミエ・メートル・ド・バレエ(Premier maître de ballet)あるいはプルミエ・メートル・ド・バレエ・アン・シェフ(Premier maître de ballet en chef)という。現代においては、バレエ団において日常のクラスレッスンで教育を行う他、既に定着したレパートリーのみならず新作についてリハーサルを行うことに責任を持つ。男女の別を問わず、バレエ団の芸術監督をバレエマスターと呼ぶこともある。バレエマスターに限らず、バレエ団や演劇界で伝統的に使われてきた性別を含む用語は、性別によらないジェンダー中立な語に置き換えられるつつある。

歴史

バレエの歴史における最初の数世紀、すなわち18世紀から20世紀初頭にかけて、首席バレエマスターという地位は、プルミエ・メートル・ド・バレエ・アン・シェフ、あるいはより単純にメートル・ド・バレエと呼ばれ、バレエ団の責任者であり、かつ首席振付家と芸術監督を兼ねる役職であった。その職責には、バレエ作品の制作やオペラでのダンス、バレエ音楽の委嘱やダンサーの指導、さらには所望のバレエスタイルの確立までが含まれていた。首席バレエマスターは、劇場の芸術監督を担うこともあった。20世紀初頭、特にバレエ・リュス解散後にはバレエ団のトップは芸術監督となり、「首席バレエマスター」という役職はかつて次席バレエマスターと呼ばれていた首席指導者あるいは芸術助監督のことを指すようになっている。

著名なバレエマスター

ギャラリー

  • フィリッポ・タリオーニ(1820年頃)
    フィリッポ・タリオーニ(1820年頃)
  • ジュール・ペロー(1850年頃)
    ジュール・ペロー(1850年頃)
  • マリウス・プティパ
    マリウス・プティパ
  • ジャン・コラーリ(1810年頃。「ジゼル」の振付で著名)
    ジャン・コラーリ(1810年頃。「ジゼル」の振付で著名)
  • アルテュール・サン=レオン(1865年頃、パリ)
    アルテュール・サン=レオン(1865年頃、パリ)
  • ジャン・ドーベルヴァル(1790年頃、パリ)
    ジャン・ドーベルヴァル(1790年頃、パリ)
  • オーギュスト・ブルノンヴィル(1841年)
    オーギュスト・ブルノンヴィル(1841年)