全称命題

全称命題(ぜんしょうめいだい、英:universal proposition)とは、一つの集合を構成する全ての項について、ある性質を肯定する命題である。これは命題なので真理値を常に持つ。

例えば、「全ての犬はいずれ死ぬ」という命題と「全ての牛は空を飛ぶ」という命題はどちらも全称命題であり、前者は真であり後者は偽である。全称命題は、存在命題の否定と論理的に等値である。それゆえ、「全ての牛は空を飛ぶ」という命題を主張することは、「少なくとも一頭は空を飛べない牛がいる」という命題を否定することと等値である。

述語P(x)に対して、述語の変数を集合Uを変域にする自由変数xの全てと考えたとき、集合Uに関して全称命題がつくられる[1]。∀xU(P(x))と表す[2]。「バラは赤い」は、Uを「バラ」の集合、P(x)を「xは赤い」と考えるとこの記号で表せる。ただし、Q(x)を「xはバラである」として、∀xQ(x)→P(x)とする場合もある。この場合、解釈の領域を、例えば「花」などにする必要がある[3]

ただし、ヒューム的な因果に関する懐疑論の線に従えば、真となる全称命題は唯一、アプリオリに存在し定義から導き出される種類の命題(「全ての犬は哺乳類である」など)に限られる。アポステリオリに、すなわち世界についての経験から導き出される命題(「全ての犬は4本足をもって生まれてくる」など)は決して真として確証されることはなく、差し当たり真とされている(反証可能である)、というものである。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ 嘉田勝(2008) 「論理と集合から始める数学の基礎」p31〜32
  2. ^ 嘉田勝(2008) 「論理と集合から始める数学の基礎」p34
  3. ^ 清水義夫(1984) 『記号論理学』p38~39 p46~48

関連項目

  • 表示
  • 編集
 
関連項目
学術的領域
基本概念
 
批判的思考非形式論理学
論理学の哲学
 
基幹
名辞論理学(英語版)
命題論理ブール論理
述語論理
標準形
集合論
モデル理論
証明論
再帰理論
表現
 
様相論理学
直観主義
ファジィ論理
  • 真理の程度(英語版)
  • ファジィルール(英語版)
  • ファジィ集合
  • ファジィ有限要素(英語版)
  • ファジィ集合演算(英語版)
部分構造論理
矛盾許容論理
様相記述論理(英語版)
  • 存在論
  • オントロジー言語(英語版)
カテゴリカテゴリ
 or &
論理積
AND
論理和
OR
¬ or ~
否定
NOT
含意
implies
上位集合
superset
同値
iff
否定論理積
NAND
全称量化
for all
存在量化
exists
恒真式
tautology
false
/ 矛盾
証明可能
proves
論理的帰結
entails
従って
therefore
なぜならば
because